日本における無痛分娩の現状

日本ではお産は自然が一番、我慢することが美徳という思想が古くからあります。また、妊娠中に薬剤を使用することに抵抗を感じる妊婦さんも少なくありません。
わが国での無痛分娩の普及率はこの10年で倍増しているとはいえ、6%と医療先進国の中でも著しく低いのが現状です。
米国では無痛分娩率は80%といわれています。


妊婦さんの高齢化、社会的ニーズの変化などにより、今後無痛分娩を希望される妊婦さんはさらに増加してくると考えられます。


当院における無痛分娩の現状

日本では一般的に「無痛分娩」といいますが、英語では”labor analgesia(分娩時の鎮痛)”といいます。つまり、全く痛みのない「無痛」という解釈ではありません。この誤解を避けるために「和痛分娩」という表現をとっている施設もあります。

当院で無痛分娩を受けられた妊婦さんは、この10年で2.5倍増加しており、平成30年は228名でした。その中の半数があらかじめ予約され、麻酔を受けられました。残りの半数は分娩進行が思わしくないなどの理由による医学的適応あるいは分娩進行中にご希望により無痛分娩に切り替えられた妊婦さんでした。

当院では「安全且つ快適な無痛分娩」を目指しています。当院ではJALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)の趣旨に賛同し、無痛分娩に関する情報公開およびJALAで推奨されているJ-CIMELS(日本母体救命システム普及協議会)講習会を受講しています。

川俣医師は、多くの心疾患・脳疾患を持ったハイリスクの患者さんに対して、完全無痛分娩を行ってきました。その結果、分娩のごく早期から麻酔を導入すると、約半分の確率で回旋異常(分娩時の胎児の体の向きが異常な状態で母体の骨盤内に進入してくること)がおこることを経験しています。無痛分娩は陣痛の痛みををとってくれるメリットの大きな方法ではありますが、そのデメリットも十分理解された上で受けられることをお勧めします。

無痛分娩に関する情報はこちら(JALAのサイトへ移動します)
https://www.jalasite.org/


当院における無痛分娩の方法

当院では原則として、「硬膜外麻酔」による無痛分娩を行っています。

硬膜外麻酔とは、背中からカテーテルを硬膜外腔に挿入し、局所麻酔薬によって下半身の痛みを軽減する方法です。痛みの感じ方は主観的なものであり、個人差が大きく疼痛軽減が不十分と思われる妊婦さんに対しては、全身投与による麻酔薬を追加する場合もあります。

当院では局所麻酔薬注入用のポンプとして、鹿児島県の産婦人科では初めてJMS製i-Fusorを導入いたしました。
これはPCA(patient controlled analgesia)、つまり妊婦さんが痛みを感じた時に自分で局所麻酔薬を注入できるタイプの輸注ポンプです。PCAを併用することで、不要な麻酔薬量を減らせることが報告されており、母児に対してより安全性の高い無痛分娩が提供できると考えられます。
麻酔器

無痛分娩教室開催・・・8月より第3火曜日16:15~17:00にて「ZOOM」アプリを使用して行っています。

JALA(無痛分娩関係学会・団体連絡協議会)「無痛分娩に関する情報公開」 
作成日2019年5月13日

jala