• 診察内容:胎児心臓を中心とした超音波スクリーニング検査
  • 対象:妊娠26~28週の妊婦様
  • 診察時間帯:①毎週火曜日13時~②毎週水曜日14時~
  • ※完全予約制(当院の患者様は,予約システムをご利用ください。)
  • 当院以外の患者様の予約電話番号:099-268-0311 (月~金曜日の9~17時まで)
  • 料金:8,000円(当院で健診中の方は妊婦健康診査受診票の使用で無料です)
  • 医師:川俣医師
  • 注意)保険証、母子手帳をご持参ください。ご予約時間の15分前にはご来院ください。
  • 当院以外で健診を受けておられる方も受診できます。

★胎児超音波スクリーニング検査とは?

産科超音波検査は「広義の出生前診断のひとつ」です。
産科超音波検査には、妊婦健診時に妊娠経過の正常・異常の鑑別を目的に行う「通常超音波検査」と胎児形態異常の評価ないし診断を目的とした「胎児超音波検査」の両者があります。

~胎児超音波外来は赤ちゃんの安全を守るため~

当院における「胎児超音波外来」は、全妊婦さんを対象とした検査ではなく、希望される方にのみ行っています。胎児に形態的な異常があることを知りたくない権利ももちろんあります。 胎児期に超音波検査で発見される胎児異常の中で、出生前に診断し、(高次医療機関に紹介するなど)十分な準備を行った上でお産に臨むことで、出生後の児の予後(生存率や有害事象のこと)の改善が見込まれる疾患群があります。それらを可能な限り胎内で診断することにより、母児の安全を最大限確保することが可能になります。

当院は、胎児心疾患の形態異常を診断し、保険請求が可能な施設として認定されています(胎児心エコー法)。

私は高次医療機関で胎児診断、胎児治療を多く経験してきました(下の筆頭論文参照)。愛育病院では2007年より胎児超音波外来を開設し、検査症例は15000人を超えました。胎児心疾患をはじめとした多くの胎児病を診断し、その予後の改善に寄与してきました。

胎児にとって超音波検査は安全なのでしょうか?
現在のところ、診断的な超音波検査とヒトの妊娠における有害事象との間に因果関係は示されていません。しかし、超音波検査は必要な情報を得るために最小限の暴露にすべきです。
ACOG (アメリカ産科婦人科学会議)やFDA (アメリカ食品医薬品局)の勧告では、”記念のため”に施行されるような医療上の目的でない超音波検査は行うべきではないとしています。そのため、当院では胎児4D専門の外来を開設していません。胎児超音波外来は4Dを目的としたものではありませんが、検査中にタイミングよく胎児が顔を見せてくれた場合は、短時間で児の3D画像を撮影しています。(院長 川俣)

以下は疾患の種類によってどの程度胎児期に診断できるかを示しています。

 無脳症99%腹壁破裂94%
二分脊椎89%臍帯ヘルニア92%
水頭症78%両側性腎無形成94%
口唇/口蓋裂68%後部尿道弁79%
左心低形成87%肢欠損57%
大血管転移64% 内反足57%
 横隔膜ヘルニア92%
 (EUROCAT 2017)
※ダウン症、脳性麻痺、染色体異常などは超音波検査では発見できません。
論文・著書(筆頭のみ掲載)

【胎児疾患の管理 胎内治療の時代を迎えて】 胎内治療の適応と実際 頸部水滑液腫.
川俣和弥 臨床婦人科産科 2005 59 (9) 1233-7

【胎児・新生児の心疾患】 胎児心不全の治療.
川俣和弥, 渡辺健 周産期医学 2005 35 (8) 1037-42

胎児期に診断された純型肺動脈狭窄・閉鎖症例の予後不良因子の検討.
川俣和弥, 神藤巳佳, 金川武司, 宮下進, 根木玲子, 細野剛良, 渡辺健, 千葉喜英
日本新生児学会雑誌 2001 37 (2) 184

胎児心臓手術を目的とした胎児体外循環の検討.
川俣和弥, 金井宏之, 神藤巳佳, 金川武司, 千葉喜英
日本産科婦人科学会雑誌 2001 53 (2) 292

胎児期に診断された肺動脈狭窄・閉塞症例の転帰に関する検討.
川俣和弥, 金川武司, 神藤已佳, 金井宏之, 宮下進, 根木玲子, 細野剛良, 千葉喜英
日本新生児学会雑誌 2000 36 (2) 203

胎児診断から新生児医療へのバトンタッチ 先天性心疾患.
川俣和弥, 村上典正
Neonatal Care 1999 12 (9) 1002-9

周産期における超音波診断 子宮内発育遅延児における胎児中大脳動脈血流波形RIの評価.
川俣和弥, 村上典正, 金井宏之, 渡辺典芳, 根木玲子, 宮下進, 千葉喜英
Neurosonology 1999 12 Suppl 48

当科における出生前診断症例の検討.
川俣和弥, 安藤五三生, 渕之上純久, 柿木博成, 池田敏郎, 伊集院吐夢, 野田芳人, 永田行博, 河野幸春, 奥章三
鹿児島県母性衛生学会誌 1998 4 45-6 日本語

高度な貧血をきたしたFetomaternal transfusion syndromeの1症例.
川俣和弥 日本新生児学会雑誌 1997 33 (4) 638

胎便性腹膜炎の1症例.
川俣和弥, 野田芳人, 伊集院吐夢  周産期医学 1997 27 (11) 1519-22

Prenatal diagnosis of congenitally corrected transposition of the great arteries. A case report.
Kawamata K, Watanabe K, Chiba Y
Fetal Diagn Ther 2005 20 (1) 16-9

Functional aortic stenosis diagnosed in fetal period.
Kawamata K, Watanabe K, Chiba Y, Okada Y, Kohno Y
Fetal Diagn Ther 2004 19 (1) 106-10

胎児輸血 川俣和弥
大戸 斉・遠山 博 編. 小児輸血学. 東京: 中外医学社, 2006: pp 101-109

頻拍型不整脈 川俣和弥
千葉喜英 編 産婦人科超音波診断アトラス. 東京:ベクトル・コア 2004: pp340-343

分娩前評価法と管理の実際 胎児病 川俣和弥
村田雄二 編 新女性医学体系 30 胎児胎盤機能評価. 東京:中山書店,2002:pp170-177

胎児intervention 胎児胸水穿刺吸引 川俣和弥
千葉喜英 編 新女性医学体系 33 産科手術と処置. 東京:中山書店,2000:pp334-337